「看護師ってお給料良さそう」って言われる一方で、現場で働いていると「こんなに忙しいのにお給料が低い!」と感じることは非常に多いと思います。

私自身も3年目くらいからずっと思っていました。
そこで日本全体の平均年収と比較し、看護師のお給料が本当に低いのか、低いと思う原因について徹底考察していきます。
この記事を読むことで「今の収入は相場と比べてどうなのか」がわかり、転職や資格取得などのキャリア戦略が立てやすくなります!
看護師の平均年収は?
厚生労働省「賃金構造基本統計調査(令和5年)」によると、看護師の平均年収は次の通りです。
項目 | 金額 |
---|---|
平均月収 | 約35万円 |
賞与 | 約100万円 |
平均年収 | 約500〜520万円 |
日本全体の平均年収は約470万円なので、数字だけ見れば「少し高め」と言えます。
看護師年収と日本全体の年収の比較

こちらが「看護師」と「日本全体」「日本女性」の推移賃金(月収)を比較したグラフです 。
看護師賃金は厚生労働省「令和4年看護師の年齢階級別平均賃金(役職者含む)(月収換算)」より、日本全体平均賃金・日本女性平均賃金は厚生労働省の「令和6年賃金構造基本統計調査」より数値を引用し、独自にグラフ化しました。
青線が看護師の賃金ですが、常に日本全体平均賃金・日本女性平均賃金を上回っていることがわかります。
これを見る限り、看護師のお給料は低くないように見えます。

とはいえ、現在の給料に満足している人は少ないのではないでしょうか?その原因を次章で考察していきます。
看護師の給料が安いと言われている原因
ではなぜ「看護師の年収は低い」と感じる人が多いのでしょうか。
身体的負担が大きい
看護師の業務が多岐に渡りますが、自分より体重の重い患者の入浴や移乗の介助により、腰痛などの身体的トラブルに悩まされている看護師は少なくありません。
また病棟中を歩き回るので1日1万~1万5千歩ほど歩き回り、膝が痛くなる看護師もいます。
また、2交代制を導入している病棟では労働時間も非常に長く16時間の労働も日常茶飯事です。

患者を元気にしている一方で、看護師の身体はボロボロになっていきます
精神的負担が大きい
看護師は人の命を預かる仕事であり緊張感は常にあります。
薬剤は1バイアルあたり何十万もするものもありますし、呼吸器や持続点滴なしでは生きられない患者が多くいます。
1つのミスも許されないという状況下で働くことは非常にストレスも多く、心もどんどんすり減っていきます。
拘束時間が長く、残業代を請求しにくい
近頃は働き方改革で改善されてきていますが、それでも残業が非常に多いです。
勤務後だけでなく、患者の情報収集や薬剤準備を前残業で行っている病院も多いうえに、そういった残業代は請求しにくい環境にあります。

残業は自身の能力不足で発生するもの、前残業は当たり前に発生するものという風習がまだまだ根強く残っています。
もちろん法律上残業代は発生します。
残業代を正当にもらっていないのも給料が低く感じる原因になっています。
時間外の自己研鑽が非常に多い
人の命を預かる以上、それなりに専門知識は必要です。
そのため1年目の時から高いレベルの知識を求められることが多く、そのレベルに到達するために寝る時間を削って勉強している人も多いと思います。
また、医療は常に進化しており新しい治療が始まったり、異動によって部署が変わったりすると長年看護師をしていてもかなり勉強が必要になったりします。

看護師辞めるまで勉強し続けないといけないんですね
看護研究を任されてしまうと、毎日勤務後から終電まで病棟でパソコンに向き合っていたり、休日に病棟に来たりと拘束時間が非常に多くなります。
そして看護研究は自己研鑽にあたるため、基本的に残業代・休日出勤手当はでません。
昇給率が高くない
看護師の給料は若い間は高いことが多いのですが、上り幅は他の職種に比べて小さくなっていきます。
看護師は女性が多い職種のため、結婚や育児により途中でキャリアを中断する人が多いことや、看護師の給料は診療報酬から支払われているため給料を大きく上げにくい、といったことが考えられます。
看護師経験年数が増えていくにつれて委員会や係、看護研究など任される仕事はどんどん増えていくのに、給料が上がらなければ「給料に見合っていない」と感じるのが普通ですよね。
看護師の給料が上がらない原因となっている診療報酬
病院の収入の多くは「診療報酬」です。
この診療報酬は国が定めているため自由に値上げできず、増加もごくわずか。
その限られた収入の中から、病院はさまざまな費用をまかなっています。
★診療報酬の主な使い道
- 看護師・医師・事務などの人件費
- 薬剤や医療材料の仕入れ費用
- 医療機器や建物の維持管理費
- 光熱費や食事などの運営費
こうした多方面への支出が必要なため、看護師の給料を大きく上げるのが難しい構造になっています。
看護師の年収を上げる方法
転職をする
看護師の年収は、働く場所によって大きく変わります。
働き方 | 年収の目安 | 特徴 |
---|---|---|
大学病院・総合病院(夜勤あり) | 500〜600万円 | 夜勤・残業込み。20〜30代はここが平均的。 |
地方病院(日勤+夜勤少なめ) | 450〜500万円 | 地域手当が少ない分やや低め。 |
クリニック(日勤のみ) | 320〜400万円 | 夜勤なし・残業少なめだが年収は下がる。 |
産業看護師 | 450〜500万円 | 勤務する企業の規模や業種、さらには経験やスキルによって大きく変動する。 |
都市部の病院と地方の病院では年収が100万円程度違ってくるので、地方で働いている看護師さんは都市部への転職も視野に入れた転職活動を行うのがおすすめです。
クリニックは年収は下がりますが夜勤がなくなるので、転職して身体的に楽になったとの声を多数耳にします。
夜勤が辛い、身体的にきつい、といった理由で転職を考えている人におすすめです。
産業看護師の平均年収は病院勤務よりも低いと言われていますが、働く企業や業種によって大きく変動するため、実際に病院勤務時代よりも年収が上がる人も多く見られます。
資格・スキルを取得する
認定看護師・専門看護師・特定行為研修修了者など、資格によって手当や転職時の待遇改善が期待できます。

ただ、これらの資格をとるのもかなりのお金と時間がかかります
働き方を変える
夜勤手当・深夜手当は基本給に比べて高いため、勤務回数を増やすと収入アップに直結します。
なので夜勤が得意な人は夜勤専従として働くのもおすすめです。
またライティング・オンライン相談・健診バイトなど、看護師資格を活かした副業を始めるという方法もあります。

大学病院などに勤務している人は副業が禁止されていることが多いため、確定申告などの勉強をしてから始めてくださいね。
昇進する
主任・師長などの役職に就くことで役職手当がつき、安定して年収が上がります。
今働いている病院でやりがいを感じている人は昇進目指すのもいいと思います。
まとめ
看護師の年収は日本の平均よりはやや高めです。
ただし、仕事内容のハードさや夜勤手当の有無によって「思ったより低い」と感じる人が多いのも事実。
「診療報酬がベースの給与」だから大幅な昇給は限られますが、働き方や職場選び、スキルアップで自分で年収を伸ばす道はあります。
この記事を読んでくださった皆様がよりベストな選択ができることを心より願っています。
コメント